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point「原子力で地球を救えるか?~CO2と温暖化問題~」京都大学原子炉実験所 小出裕章氏講演会。Part2.

Part1.の続きです。

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Ⅲ.原発は最悪

原子力発電もまた大量の二酸化炭素を放出する

 原子力とはウランやプルトニウムの核分裂現象を利用します。核分裂現象は、通常の物が燃える場合に二酸化炭素が出る現象とは異なります。そのため、日本の国や電力会社は「原子力は二酸化炭素を出さず、環境にやさしい」と宣伝してきました。ただし、その宣伝は、最近では「原子力は発電時に二酸化炭素を出さない」に微妙に変わってきています。何故でしょう?
 100 万KW の原発を1年運転するために必要な作業の流れを図9に示します。

ywca09.jpg

 図9で中央やや下よりに「原子炉」と書いた部分が原子力発電所です。これを動かせば、今日標準的となった100 万kW の原発の場合、1年間に約70 億kWh の電気が生み出されます。しかし、この原子炉を動かそうと思えば、「ウラン鉱山」でウランを掘ってくる段階に始まり、それを「製錬」し、核分裂性ウランを「濃縮」し、原子炉の中で燃えるように「加工」しなければなりません。そのすべての段階で、厖大な資材やエネルギーが投入され、厖大な廃物が生み出されます。さらに原子炉を建設するためにも厖大な資材とエネルギーが要り、運転するためにもまた厖大な資材とエネルギーが要り、そして、様々な放射性核種が生み出されます。これら厖大な資材を供給し、施設を建設し、そして運転するためには、たくさんの化石燃料が使われざるを得ません。結局、原子炉を運転しようと思えば、もちろん厖大な二酸化炭素が放出されてしまいます。この事実があるため、国や電力会社も「発電時に」と言う言葉を追加せざるを得なかったのでした。しかし、「発電時に」と言うことが原子力発電所を動かすことを示すのであれば、原子力発電所の建設にも運転にも厖大な資材や化石燃料を必要としているのですから、その宣伝もまた正しくありません。その上、たしかに核分裂現象は二酸化炭素を生みませんが、その代わりに生むものは核分裂生成物、つまり死の灰です。二酸化炭素は地球の生命環境にとって必須の物質ですが、核分裂生成物(死の灰)はいかなる意味でも有害な物質です。二酸化炭素を生まないとの理由だけを強調して、死の灰に目をつぶる議論はもともと間違っています。

JAROによる裁定

 原子力を推進する国や電力会社は、原子力は二酸化炭素を出さないとして、「エコ」であるとか「クリーン」であると、マスコミ、ミニコミ、あらゆる手段を使って四六時中宣伝しています。このような宣伝の洪水に晒されれば、多くの日本人が、それを信じてしまうことはやむをえないことでしょう。その宣伝に違和感を思えた一人の若者がJARO(日本広告審査機構)に、こうした宣伝の正当性について審査を求めました。JARO は専門家による審査委員会を作って検討し、以下のような裁定を下しました。
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 今回の雑誌広告においては、原子力発電あるいは放射性降下物等の安全性について一切の説明なしに、発電の際にCO2 を出さないことだけを捉えて「クリーン」と表現しているため、疑念を持つ一般消費者も少なくないと考えられる。
 今後は原子力発電の地球環境に及ぼす影響や安全性について充分な説明なしに、発電の際にCO2 を出さないことだけを限定的に捉えて「クリーン」と表現すべきでないと考える。
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 あまりに当然な裁定ですが、JARO は民間の機関で強制力を持たないため、国と電力会社はこの裁定を無視して、相変わらず偽りの宣伝を流し続けています。

低レベル放射性廃物

 図9には原子炉の運転に伴って「低レベル放射性廃物」が生じることを記しましたが、ドラム缶に詰められたその総量はすでに150 万本近くなりました。発電所敷地内にある貯蔵施設の容量は今現在90万本ほどしかなく、始末に困った発電所側は、一度ドラム缶に詰めたごみのうち燃えるものはドラム缶から引き出して焼却し、60 万本以上のドラム缶を減らしました。それでも容赦なくゴミが増えてくるため、すでに20 万本以上を青森県六ヶ所村に運んで、次々と埋め捨てにしています(図10 参照)。

ywca10.jpg

そして、日本の国は、それが安全になるまでに300 年間管理するのだと言っています。日本で原子力発電を行って利益を得ているのは電力会社です。当然、生み出す放射能のごみに責任があるのは、電力会社のはずです。しかし、現在の九電力が生まれたのは戦後で、その歴史は未だに58 年しかありません。その電力会社が放射能のごみを300 年間管理すると保証できる道理がありません。そこで、電力会社は放射能のごみは国の責任で管理してくれるよう求め、日本の国はそれを受け入れました。しかし、300 年と言う時間の長さはどの程度の長さなのでしょうか? 明治維新で現在の日本の国家体制ができてからわずか142 年しかたっていません。米国など未だに234 年の歴史しかありません。現在から300 年昔にさかのぼれば元禄時代、忠臣蔵討ち入りの時代です。その時代の人々が現在の私たちの社会を想像できた道理がないように、私たちが300 年後の社会を想像することなど到底できません。もちろん現在の電力会社など存在しないでしょうし、民主党という政党も、自民党という政党もないでしょう。日本の国すらないかもしれない彼方です。それにもかかわらず、生み出した放射能のごみを300 年にもわたって一体どうやって誰の責任で管理するのでしょう?

ywca11.jpg

どうにもできない使用済み燃料

 現在日本には54 基、4900 万kW 分の原子力発電所が動いていて、私たちは電気が欲しいといって原子力発電を動かしながら、毎年、広島原爆約5 万発分に相当する死の灰を生み出しています。日本で原子力発電が始まって以降、原子力発電はたしかに6兆kWh を超える電力を生み出しました。しかし、その裏で不可避的に生み出した死の灰の総量は、すでに広島原爆110 万発を超えています(図11 参照)。

ywca11a.jpg

正直に言うと、私自身その恐ろしさを実感できません。日本人の一人ひとりが等しくこの放射能に責任があるとは思いませんが、もし原子力の恩恵を受けている今の世代の人間が等しく責任を負うとするならば、セシウム137 の減衰を考慮してなお、わずか150人で広島原爆1 発分の放射能に責任を負うことになります。
 人類初の原子炉が動き出したのは1942 年のことでした。それ以降すでに60 年以上の歳月が過ぎ、その間死の灰を死の灰でなくそうと研究が続けられてきましたが、困難はますます増えるばかりで一向にその方法が視えません。人類は死の灰を生み出すことはできるようになりましたが、死の灰を無毒化する力を持っていません。そうなれば、できることは死の灰を人類の生活環境から隔離することしかありません。放射能にはそれぞれ寿命があり、一口に「死の灰」といっても、寿命の長いものも短いものもあります。代表的な核分裂生成物、セシウム137 の半減期は30 年です。それが1000 分の1 に減ってくれるまでには300 年の時間がかかります。
 その上、原子力発電が生み出す放射能には、もっとずっと長い寿命を持った放射能があります。たとえば、長崎原爆の材料にもなったプルトニウム239 の半減期は2 万4000 年で、それが1000 分の1 になるまでには24 万年かかります。原子力発電所の使用済み燃料(あるいはそれを再処理して生じる高レベル放射性廃物)は、およそ100 万年に亘って人間の生活環境から隔離しなければならない危険物です。日本では現在、青森県六ヶ所村に建設された貯蔵施設(高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター)に、およそ50 年間を目処に一時的に貯蔵して当座をしのいでいます。また、2000 年5 月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が成立し、その廃物は、深さ300~1000mの地下に埋め捨てにする方法が唯一のものと決められました。しかし、どんなに考えたところで、100 万年後の社会など想像できる道理がありません。もちろん現存しているすべての国は消滅しているでしょうし、人類そのものが存在しているかどうかすら分かりません。その頃にもし人類がこの地球上に存在していれば、地下300mや1000mなど、ごく普通の生活環境になってしまっているかも知れません。地層処分の選択をせざるをえなかったのは、他に考えた方策がどれもだめだったからに過ぎません(図12 参照)。

ywca12.jpg

結局、人類は原発が生み出す廃物の処分方法を知らないまま今日まで来てしまいました。いまだにその処分法を確定できた国は世界に1つもありません。もし、高レベル放射性廃物を現在の日本の国が言っているような方法でなく、きちんと管理し続けようとすれば一体どのような手段があるのか、現在の科学では、シナリオすら描けません。したがって、一体どれくらいのエネルギーが必要になるか定量的に示すこともできませんが、発電して得たエネルギーをはるかに上回ってしまうことは想像に難くありません。もちろん、二酸化炭素の放出も膨大になってしまうでしょう。

厖大な温廃水

 今日100 万kW と呼ばれる原子力発電所が標準的になりましたが、その原子炉の中では300 万kW 分の熱が出ています。その300 万kW 分の熱のうちの100 万kW を電気にしているだけであって、残りの200 万kW は海に捨てています(図13 参照)。私が原子力について勉強を始めた頃、当時、東大の助教授をしていた水戸巌さんが私「『原子力発電所』と言う呼び方は正しくない。あれは正しく言うなら『海温め装置』だ」と教えてくれました。300 万kW のエネルギーを出して200 万kW は海を暖めている、残りの僅か3 分の1 を電気にしているだけなのですから、メインの仕事は海暖めです。そういうものを発電所と呼ぶこと自体が間違いです。

ywca13.jpg

 その上、海を温めるということは海から見れば実に迷惑なことです。海には海の生態系があって、そこに適したたくさんの生物が生きています。100 万kW の原子力発電所の場合、1 秒間に70 トンの海水の温度を7 度上げます。近畿一の大河である淀川でもその流量は1 秒間に150 トンしかありません。日本全体でも、1 秒間に70 トンの流量を超える川は30 に満ちません。原子力発電所を造るということは、その敷地に忽然として暖かい川を出現させることになります。
 日本というこの国が国家として「美しい」とは思えませんが、気候に恵まれた、得がたい生命環境だと私は思います。たとえば、雨は地球の生態系を持続させる上で決定的に重要なものですが、日本の降水量は平均で1700mm/年を越え、世界でも雨の恵みを受けている貴重な国の一つです。国土全体では毎年6500 億トン近い雨水を受けています。それによって豊かな森林が育ち、長期にわたって稲作が持続的に可能になってきました。また、日本の河川の総流量は約4000 億トンです。一方、現在日本には55基、電気出力で約5000 万kW の原子力発電所があり、それが流す温排水の総量は1年間に1000 億トンに達します。日本の全河川の流量に換算すれば約2度も暖かくしていることになり、これで温暖化しなければ、その方が不思議です。
 もちろん日本には原子力発電所を上回る火力発電所が稼動していて、それらも冷却水として海水を使っています。しかし、現在の原子力発電所は、燃料の健全性の制約から1次冷却水の温度を高々330℃までしか上げることができず、そのため発電の熱効率は約33%でしかありません。一方、最近の火力発電所の熱効率は50%を超えており、もし原子力から火力に転換することができれば、それだけで海に捨てる熱をはるかに少なく済ませることができます。

---Part3.に続きます。

2010/07/14(水)00:28 | 生きる権利 | トラックバック(0) | コメント(2)

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pointみなみ虫 []

>やきとりさん
そうですよね~。
民主党がやたら原発推進しているのも、やっぱり電力会社関係と繋がってるからだそうです。
自分に何ができるのかと考えた時に、ほとんど何もできないということにガッカリしますが、それで何もしなかったらそれこそヤツラの思う壺なので、地味~にちまちまと抵抗し続けるしかないんですねぇ。あ~、独裁者になりたい(笑)。

2010/07/18(日) 17:17:26 | URL | [ 編集]

pointやきとり [無力感]

「クリーンエネルギー」というコピーについては私も腹立たしく感じていましたが、JAROがまっとうな裁定を下していたとは知りませんでした。でも何らかの強制力が無いと無意味ですね。大スポンサーの電力会社に配慮して、メディアも積極的には取り上げないだろうし。普天間や公務員(特に検察)改革もそうだけど、巨大で絶対的な意思に裏打ちされた事物に対して、いくら正論で立ち向かおうとしても、結局最後は「敵」に押し切られてしまうのではないか・・・という無力感に押し潰されそうな今日この頃でございます。

2010/07/16(金) 18:14:57 | URL | [ 編集]

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