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point『休暇』 [映画]



公式サイト http://www.eigakyuka.com/
監督:門井 肇
原作:吉村 昭
出演:小林 薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉 漣、柏原収史 ほか
(2008年・日本・115分)
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サダム・フセインの処刑や、光市の事件のことを考えたり、森達也さんの本や、サイトで死刑囚の方の残した手記を読んだりで、断続的に「死刑」について悶々と考えています。何度かブログに書いてみようと思ったりもしたけど、うまく書ける自信がなくて諦めてるんだけど、先週も秋葉原事件への見せしめのような執行があって、どよんとした気分になってたところに、この映画が十三の七藝でやってること、さらに刑務関係アドバイザーに森達也さんの本でインタビューを受けられていた、元刑務官の坂本敏夫さんが参加していることを知って、これは是非見に行っとかなくちゃならないような気がして。梅田のジュンク堂に先に寄ってて、上映開始13時20分なのに(一日一回のみ)レジで気づいたら12時58分!で、走って走って汗だくでなんとか間に合った。悪天候の日曜なのに、滑り込みで入ったらほぼ満席でびっくりした。

いろいろ湧いてくるけど、今日はこの映画の事だけ書きます。それでもまとまるか、わかりませんが(笑)。

主な舞台は拘置所、淡々としているように見えるけれど、いろいろな人の思いが静かに静かにあふれる映画でした。キャストの方々みんな素晴らしかったと思うけど、主人公・平井役の小林薫さんと、死刑囚・金田役の西島秀俊さんの抑えに抑えた演技には、見終わってからもいろいろじわじわと思い出され考えさせられた。

金田がいつもモノクロの絵を描いていること、美香(大塚寧々)の連れ子の達哉がいつもカラフルな絵を描いていること、金田が執行の前に飲んだコップ一杯の水、新しく家族になった3人が旅の途中に飲んだ湧水、それらのモチーフが、なにか象徴的にリンクしているように思えた。

一週間の休暇のために『支え役』に立候補した平井に、上司の三島(大杉蓮)は「ひとの命を何だと思ってるんだ!」と怒りを爆発させるけれど、考えてみれば支え役はある意味、死刑囚の命の最期を直に受けとめ見届ける役目でもあるように思う。そういうことも含めて、平井は散々迷った末(容易に決めたわけではないことが、処遇部長の「時間は過ぎていますが」と言う言葉でわかる)、引き受けて、そして生きることに決めたのではないのかな。誰がどうあがこうと、刑は執行されるのだから。なんて、多分そんな美談にしちゃ、いけないのかも知れない。だけど、平井がただの無表情で無感情な人間ではないことを、金田もきっとわかっていたんだ。あんな素敵な絵を、こっそり描いて贈るくらいなんだもの。

その金田が何をして死刑囚になったかは、詳しくは語られない。最初に出てくる書類に「強盗殺人」と書いてあるのでわかるだけ(だったと思う。じっくり見ると他にもわかることはあったのかも知れないけど)。部屋の隅に、幽霊のように立っていた老夫婦?は、金田が殺した相手なのか、亡くなった両親なのか、それともその両方なのだろうか、肉親は妹だけのようだった。面会に来て、結局お互い何も言えず、帰ってしまう妹(今宿麻美)。翌日の死刑は決まっているのに、これが最後とは二人とも知らないなんて。その妹への白紙の遺書が、なんとも言えず、悲しい。

そう、西島さんの金田は、どう見ても「矯正の可能性がない極悪人の死刑囚」のように見えない。だけど実際の死刑囚も、坂本さんによると、刑務官とカウンセリングを繰り返し、日々改悛の情を深め、変わっていく人の方が多いのだそうだ。金田の罪をはっきりさせないことによって、観客を、今現在の金田に対する刑務官達の心情に寄り添わせることができているように思った。わたしたちは、「死刑囚のような極悪人は、わたしたちとは全く違う、怪物かモンスターのよう」だと思い込んでいないか。結婚式でスピーチしている酔っ払いのおっさんのような、あんな物言いを安易にしていないか。その他にも、本の中で坂本さんがおっしゃっていた事を思い出させるようなリアルな描写がたくさんあった。そのほとんどが、刑務官と死刑囚の親密度を表しているようで悲しい。(刑場のセットもかなりリアルで、ぞくっとしたけど。)いつか手を下さなければならない人間と、毎日を過ごしている人たちが、いる。その心労はどれほどのものだろう。

この映画で、平井は、支え役になったことで取れた休暇中の旅行で罪悪感を感じつつも、新しい妻と子供との、これからを生きていくための親密さのようなものを得ることができた。翻って、金田のいなくなった、からっぽの独房。つい昨日まで、彼はそこで静かに絵を描いていたんだ。わたしが、平井であり、金田であり、金田の妹であり、被害者であり、その家族でもありえると考えた時、本の中で坂本さんがおっしゃっていたように、犯人をただ殺して終わったことにするのではなく、生きて何か少しでも罪を贖うことができるようなシステムができる事を、願わずにいられない。

2008/06/23(月)12:00 | Movie | トラックバック(0) | コメント(0)

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